展示余話
横浜開港資料館×中華街
横浜中華街文化フェアの試み
2009年7月29日から10月25日まで「横浜中華街150年 落地生根の歳月」展が開かれた。本展示の開催にあたっては、中華街の商店街組合である横浜中華街発展会協同組合(以下中華街発展会)と当館が共催で、「横浜中華街文化フェア」を実施した。
横浜中華街の「食」と「観光」を担う中華街発展会と、中華街の「歴史」に焦点をあてた展示を行う当館がタイアップすることで、この街の魅力を多くの方々に知っていただけるのではないかと試みた。その活動について紹介したい。
企画を練る
2008年12月26日、中華街発展会事業企画部(鐘上智部長)との第1回打合せ会を開いた。そこで、開港150年の節目の年に、開港を契機に発展してきた横浜中華街の文化と歴史を市民・来街者に知っていただく、文化的事業を行うことで意見が一致した。
その後何度か会合を重なる中で、「横浜中華街文化フェア」を2009年8月中旬から10月中旬までの2か月間行うこと、事業の柱は(1)展示(横浜開港資料館の企画展示と中華街での街中展示)、(2)燈籠会(ランタン・フェスティバル)、(3)記念シンポジウムの三本柱で行うことにまとまった。文化フェアのキーワードは「ハイブリッド・カルチャー・チャイナタウン 融合文化空間・中華街」とした。これは、横浜中華街を、中国にルーツを持つ人びとが築いてきた街ではあるが、中国そのものではなく、150年という歳月の中で、中国の文化と国際都市横浜の様々な文化が融合してできた街ととらえたからである。また、横浜中華街の文化、横浜華僑華人のアイデンティティとは何かを考える機会としたいという思いもあった。
2か月間にわたって
7月29日、当館の記念展示「横浜中華街150年 落地生根の歳月」が始まった。その2週間後の8月12日、文化フェアのオープンニング・セレモニーとして、横浜中華街燈籠会点灯式が行われた。中華街各所に配された龍、獅子、宝船などのランタンに一斉に光が灯され、以後2か月にわたって、中華街の夜を照らした。これにあわせ、当館中庭のたまくすの下にも、親子象のランタンが登場した。
図1 当館中庭の親子象の燈籠
象は吉祥の動物であり、「万象更生」=あらゆることが生まれ変わる、良い運気がめぐってくる、という意味を持つ。

また街中展示として、「横浜中華街佰五拾年物語」ポスターを作成した。これは開港から現在までの150年を10年ずつに分け、1850年代から2000年代まで、それぞれの時代の写真を配した15種類のポスターを作成したものである。中華街発展会の加盟店舗に希望する1枚を配布・掲示するとともに、中華街の画廊、爾麗美術で全15種類のポスター展示会が開かれた。
図2 横浜中華街佰五拾年物語ポスター 1920年代

文化フェア最終日の10月12日には、記念シンポジウム「チャイナタウン温故知新歴史・文化・ビジネス」が行われる。石坂浩二横浜観光コンベンション・ビューロー理事長が開会の挨拶をされ、曹英生神戸南京町商店街振興組合理事長、陳天璽国立民族学博物館准教授、陳優継ながさき「食」夢市場運動推進委員会会長、林兼正横浜中華街発展会協同組合理事長、山下清海筑波大学教授、および横浜開港資料館主任調査研究員伊藤泉美が、各地のチャイナタウンの歴史と文化、現状の課題、将来の姿などについて意見をかわす。
「横浜中華街文化フェア」は、当館と横浜中華街発展会が共催で行うとともに、国立民族学博物館が特別共催、横浜観光コンベンション・ビューローがシンポジウムの共催という形で参画され、また横浜市経済局マザーポートエリア集客イベント支援の助成金、協賛企業、中華街関係機関の支援を受けて実施された。多方面の機関・関係者が智恵と力と資金を出して、横浜中華街の歴史と文化の振興・普及をはかったことは、開港150周年記念にふさわしい事業であった。携わった関係各位に感謝申し上げます。
(伊藤泉美)