「開港のひろば」第89号 |2005(平成17)年8月3日発行
当館所蔵の個人コレクションのひとつ、「ドン・ブラウン・コレクション」は約1万点の書籍と、約800タイトルの新聞・雑誌、約600件の文書類から成り立っています。
昨年春、平成15年度第4回企画展示「ある知日家アメリカ人と昭和の日本 ドン・ブラウン文庫1万点の世界」を開催し、あわせて『横浜開港資料館所蔵ドン・ブラウン・コレクション書籍目録』を刊行して、コレクション中の書籍を全面公開しました。
今回の展示はブラウン展の第二弾となります。中心となる出陳史料は前回は書籍でしたが、今回は文書です。文書は初公開となります。上の写真で紹介したような宣伝ビラや、写真といった画像史料も多数入っています。
コレクションが当館に入ったのは当館が開館した1981年のことです。前年に旧蔵者のブラウンが名古屋で病死し、ブラウンの古くからの友人で遺産管財人ともなったT・ブレイクモアを通じて購入しました。
19〜20世紀初頭にかけて国内外で刊行された新聞・雑誌、日本研究書が多数収められたこのコレクションは、開館間もない当館にとり、重要な収蔵資料のひとつとなりました。とくに幕末に横浜で発行された英字新聞の原紙は、世界広しといえども当館にしかない号もあり、日本の初期近代新聞史料として貴重です。
旧蔵者のブラウンは1930年に初来日し、国際ジャーナリストとして日本で過ごし、日米開戦の前年に帰国します。戦時中は情報機関に属し、日本軍に対する宣伝ビラ作成に携わりました。戦争終結後直ぐに再来日し、連合国総司令部(GHQ)の一員としてメディア全般の民主化政策にふかく関わりました。
さて、コレクション中の多数のGHQ内部史料は、当館の専門領域をこえる内容であったため、館外の専門研究者に協力を求めました。平成11年度より横浜国際関係史研究会(代表は北河賢三早大教授)に、ブラウンの事績を明らかにし、コレクションの歴史史料としての特徴をとらえる研究を委託しました。今回の展示では、研究会の新しい成果をもとに、占領期を中心とするブラウンと日本との関わりを紹介します。

(中武香奈美)